村の疫病

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ハナの幼馴染である武雄は浅黒く日焼けした手で、ハナの白くしなやかな手をにぎりしめたのだった。 ☆☆☆ ハナの父親が死んだのはそれからまもなくしてのことだった。 この流行病のせいで両親とも失ってしまったハナは泣き崩れて、亡骸と離れ離れになることを拒んだ。 しかし、死んでもなおその体に付着している可能性のある細菌を恐れて、村人たちは父親の亡骸をさっさと地中深くに埋めてしまっていた。 「ひとりぼっちになっちゃったわ」 父親の亡骸が家から消えた日、武雄はずっとハナのそばにいた。 狭霧村の唯一の産業とも言える米の収穫時期だったが、幼馴染の美しいハナをほってはおけなかった。
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