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足元に咲いている小さな白い花を摘むと、ハナはそれを光鬼の髪の毛に指した。
「昨日も言ったけど、鬼だって三者三様だ。怖い鬼だって実際にいる」
「そうね。でもそれは、人間も同じってことよね」
ハナは自分を樽の中に押し込めた村人たちの顔を思い出していた。
小さな村だから、その全員を知っていた。
ハナが小さい頃に遊んでくれた人もいた。
仲が悪いわけではもちろんなかった。
それでも人は目に見えないものに怯えた時、どうしようもなく非情になれる。
「どうした?」
うつむくハナに光鬼が心配そうに声をかけてきた。
「なんでもない」
左右に首を振り、ハナは光鬼のそばに座り込んだ。
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