惹かれる

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ここには調味料もなにもないけれど、光鬼が作る料理はどれも絶品でおいしかった。 この山にある食材の味をちゃんと把握している証拠だった。 「今度私に料理を教えてね。少しでも役立たないといけないから」 「どうしてそんな風に考える?」 「それは……」 言いかけて、口を閉じる。 役に立たないと、捨てられるから。 喉元までデカかった言葉を飲み込んで光鬼を見上げた。 光鬼の顔が少し滲んで見えたのは、自分の涙のせいなのだと遅れて気がついた。 光鬼は指先でハナの涙を拭い取ると「変なことは考えなくていい」とつぶやいたのだった。 ☆☆☆
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