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鍋の中でシナシナになった山菜は一度取り出して、石で作った包丁で切り分けた。
これでおひたしのようにして食べられる。
次は魚だ。
できれば新鮮なものを用意したいけれど、ひとりで川へ行って取ってくると、どれだけ時間がかかるかわからない。
仕方ないから、1度干した切り身をそのまま食べることにした。
村にいたときよりも少し質素に感じられうる食事だけれど、一応は準備ができた。
落ち着かない気持ちで光鬼が起き出すのを待つ。
「いい匂いだな」
薄目を開けた光鬼が立ち上る湯気を見て言った。
「大したものは作れなかったけど……」
「いや、十分だ」
起きてきた光鬼はハナの隣に座り微笑んだ。
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