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「私を捨てないでください! 村からも捨て得られて、あなたにまで捨てられたら、私……!」
頭を下げているハナの頬に透明な涙が伝っていく。
「捨てるなんて、そんなこと誰も言ってないだろう?」
光鬼は茶碗を脇においてハナの体を引き寄せた。
そのまま自分の膝の上にハナを乗せると、細くて壊れてしまいそうなあやうさを感じる。
両手で力を入れて抱きしめたら、ハナはどうなってしまうのだろう。
人間は、特にハナのように若くて華奢な女はか弱すぎて恐怖心を感じてしまう。
「でも、私は生贄としての使命を果たせていません。ちゃんと、そのように扱ってもらわないと……」
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