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日中聞こえてきていた小鳥のさえずりはとっくに鳴りを潜めていて、すっかり夜の気配が漂っている。
こんなになっても戻ってこないなんてやっぱりおかしい。
もしかして私捨てられたんじゃ……?
スッと血の気が引いていって貧血を起こしてしまいそうな感覚があった。
このままじゃダメだ。
待ち続けているだけではダメだ。
ハナは決心したように洞窟から一歩踏み出した。
汚れた着物をだけを身にまとい、川のある方角へと歩きだす。
山道には随分なれてきたと思っていたけれど、こうして暗くなってから歩くのでは随分と勝手が違うことに気がついた。
だけど今更引き返すことはできない。
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