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草履の裏にはゴツゴツとした石が突き刺さって容赦ない痛みが体に駆け抜ける。
山に軍勢している草木の中には肌に触れれば切れてしまうものも多くあり、鋭利な刃物のようにハナを攻撃してきた。
それでもハナは足を緩めることはしなかった。
自分の居場所を守るためにも光鬼を見つけて連れ戻さないといけない。
両親が死んだときの喪失感を思い出すとやるせない気持ちになる。
世界でひとりぼっちになってしまったような孤独。
そんな気持ちになるのは、もう嫌だった。
相手が鬼だろうが、光鬼はとても優しい心を持ていることをハナはすでに知っていた。
だから、余計に離れがたいのだ。
「光鬼! 光鬼!」
おかしい。
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