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「手当をしなきゃ」
光鬼から視線をそらして、どうに気持ちを気付かれないようにする。
「あぁ。戻ろう。俺たちの家に」
光鬼はそう言うと、左手で軽々とハナの体を持ち上げて肩に載せ、歩き出したのだった。
☆☆☆
鬼の体というのは本当に不思議だった。
あれだけ出血していたはずなのに、洞窟に帰り着く頃にはすっかり血は止まっていた。
光鬼は傷口に薬草をすりつけると、これで明日には傷もふさがっていると言った。
「でも、どうしてあんなところにいたんだ?」
食事中、そう聞かれてハナはうつむいた。
炎がゆらゆらとゆらめいて洞窟位の中を照らし出している。
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