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「とても貴重な魚で、数年に1度とれるかとれないかだ。今日は運良くとることができた」
そう言う光鬼はとても嬉しそうに頬を上気させている。
「でも、こんな高価なものはいただけないわ」
自分は生贄であると思いだしてハナは左右に首を振った。
とても嬉しい贈り物だったけれど、受け取ることはできない。
「ハナ。俺にとってハナは特別な存在だ。生贄なんかじゃない」
光鬼の大きな両手がハナの両手を包み込んだ。
「この魚を食べれば生涯幸せになれると言われている。ハナには、そうなってほしい。そのためにとってきた」
光鬼の一語一句がハナの胸に染み渡っていく。
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