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集まっている村人たちは一晩中どうすればいいか考え抜いた。
その結果……「鬼を怒らせたくはない。だけど疫病は早く収まってほしい。そうだ! 村からひとり鬼に捧げようじゃないか!」
村の誰かが犠牲になる。
それと引き換えに疫病を終わらせてもらおうと考えたのだ。
「でも、一体誰が生贄になるんだ?」
外が白み始めた頃には、そんな話しになっていた。
「生贄といやぁ、若い女だ。村にいる若い女をひとり差し出すんだ」
誰かの一言で若い女が家にいる者たちは視線を外した。
みんな鬼に生贄を捧げることには肯定的でも自分の娘を差し出したくはない。
場は水を打ったように静かになった。
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