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「若い女と言えば、ハナがいるじゃないか」
それはくぐもった小さな声だった。
自分が言いだしたのだと言われないためにそうしているのか、部屋の隅の方から微かに聞こえてきた声。
「ハナか。あの子は両親がいなくなったんだったな」
その声に賛同するように誰かが言った。
すると今まで顔をそむけていた何人かが、顔をあげて頷き合う。
「まさか、ハナを生贄にするつもりか!?」
この場にいた武雄が声を荒げて周囲を見つめる。
「そんなの絶対に許さない! 家族がいないからハナを選ぶのなら、俺がハナと結婚する! ハナの家族になる!」
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