村の疫病

8/9

6人が本棚に入れています
本棚に追加
/67ページ
「若い女と言えば、ハナがいるじゃないか」 それはくぐもった小さな声だった。 自分が言いだしたのだと言われないためにそうしているのか、部屋の隅の方から微かに聞こえてきた声。 「ハナか。あの子は両親がいなくなったんだったな」 その声に賛同するように誰かが言った。 すると今まで顔をそむけていた何人かが、顔をあげて頷き合う。 「まさか、ハナを生贄にするつもりか!?」 この場にいた武雄が声を荒げて周囲を見つめる。 「そんなの絶対に許さない! 家族がいないからハナを選ぶのなら、俺がハナと結婚する! ハナの家族になる!」
/67ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加