攻撃

10/14
前へ
/106ページ
次へ
武雄に言われて視線を落とすと、山道で何度もこけたときにできた青あざが残っていた。 治りかけの青あざは痛みはないのに黄色みを帯びた黒に変色し、痛々しい。 「これは違うわ! 光鬼がやったんじゃないの! だから、みんなを止めて!」 ハナの言葉に武雄は半信半疑になりながた光鬼を見つめた。 光鬼はさっきまで持っていた斧を捨てて、村人たちからの攻撃を受けるがままになっている。 かろうじて両腕で頭を守っているが、それだけだ。 どれだけ屈強な鬼でも、50人から一斉に攻撃を受ければひとたまりもないはずなのに……。 「行くぞハナ。今のうちに下山しよう」
/106ページ

最初のコメントを投稿しよう!

48人が本棚に入れています
本棚に追加