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生贄にされて3週間ほどの間に、昔のハナにはなかった強さを感じられるようになっている。
「私にとっても光鬼は大切な人よ。誰よりも」
その言葉は武雄の胸に突き刺さる。
村にいたとき、ハナはたしかに自分に心を寄せていた。
幼い頃からずっと一緒にいて、いずれ結婚するものだと互いに感じあっていた。
だけど今はもう違う。
ハナの心は自分にはない。
そう悟った瞬間力が抜けてハナの手を離してしまった。
ハナがハッとしたように武雄を見つめる。
武雄はハナから視線を離した。
「行け」
今自分にできることはこれくらいしかない。
ハナの幸せを考えた時、あの鬼と引き離すべきではないとわかってしまった。
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