1.誰もいなくなった箱庭 - 如月 -

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「ごちそうさま。  よしさんと、はつさんのこと頼んだねー」 「有難うございました」 店の入り口で、ぺこりと新田さまのほうに向かってお辞儀をすると深呼吸して、 入り口のドアを閉めた。 閉店後の後片付けをすると、おじちゃんが「余りものだけど、たんとお食べ」っと、 パックにいろいろと詰め込んでくれた、お惣菜とご飯を詰め込んでくれる。 このお店をアタシが手伝うようになったのは、実に間抜けな話。 ストリートミュージシャンなんて言っても、それだけじゃお金は稼げない。 楽器を買うには食事を切り詰めなきゃいけないし……、 お金がないと住む場所にも困っちゃう。 それで無理がたたって貧血起こして座り込んじゃったのが、 おじちゃんと、おばちゃんの居たこの店の前だった。 おばちゃんの声が、亡くなったおばあちゃんの声と何処か重なってしまって、 アタシは、ぬくもりに縋るようにお世話になってしまってる。 おじちゃんも、おばちゃんも常連さんに、「孫が手伝ってくれてる」なんて言っちゃうもんだから、 一部のお客さんには勘違いしてる人もいて。 だけど、そんな勘違いも心地よく感じるアタシがいた。
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