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澪との出逢いは、アタシがまだ歌い始めて間がない頃。
アタシが歌にはまったのは、歌うことがストレスの発散に繋がってたから。
昔から……アタシには家に居場所が見つけられなかったんだ。
アタシの家族は、ジジイとばーば。
んで母親の家に養子に入った父親。
偉そうなジジイと、旧家の生まれだと言う今となってはガラクタ同然の地位を慮る母親。
そんな二人の言いなりの父親。
ばーばだけが、昔からアタシの味方だった。
だけどそんな、ばーばも妹たちが生まれた頃に天国に旅立った。
そして……14歳年下の双子の妹。星奈(せいな)と陽奈(ひな)。
その頃、アタシは神前悧羅学院悧羅校の学生で寮生活だった。
寮生活の合間に時折、ばーばの仏壇に手をあわせがてら実家に帰り、
妹たちを抱くと、ギャン泣きされてしまって、それ以来、妹たちとは一線を引かずにはいられなくなった。
思いだすだけでイラっとする家庭背景を振り払うように、手探りでタバコを引き寄せると、
一本取り出してライターで火をつけて咥えた。
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