40人が本棚に入れています
本棚に追加
紫煙を燻らせながら、イライラした時間を何とかやり過ごす。
「如月……」
アタシの名を呼びながら、澪は近づいてきてアタシの傍のケースからタバコを一本抜き取る。
すかさず、ライターを手に取って澪のタバコに火をつけると、美味しそうに咥えながら煙を吐き出した。
天城真梛斗(あまぎ まなと)3歳年上のアタシの彼氏だった人。
突っ張って、やけになってたアタシをあの日まで、支え続けてくれた。
アタシを包み込んでくれた。
だけど今は、触れたくてももういない。
ばーばが居なくなって、アタシの箱庭に誰もいなくなった。
再び、アタシの箱庭に踏み込んでくれた存在が真梛斗。
だけど、また独りになった。
「澪、何処に出かける?
タバコも切れそうだし、そろそろ美容液も切れそう」
澪に声をかけるとアタシは、床に転がってるシャツとGパンを拾い上げて、
手早く袖を通すと床に座り込んで、メイクを始めた。
そんなアタシを見ながら、澪も同じように服を身に着けてメイクポーチを開いて、
ひたすら出掛ける準備を始める。
30分後、準備が終わったアタシたちは買い物がてら、
まだ残暑厳しい街の中をプラプラと散策した。
最初のコメントを投稿しよう!