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プロローグ
その昔、今から約三百年ほど前のこと。
満月の夜、ある村に一軒家ほどの巨大なオオカミが突如現れた。魔物が住み着いているから近づくなと、人々から恐れられている森の奥から現れたのを、村民の男が目にしたらしい。
そのオオカミは村を荒し、人間を喰らった。生き残った者達がみな口を揃えて言ったというその言葉を、私は幼い頃、亡くなった祖母から一度だけ聞かされたことがある。
闇夜に浮かび上がる赤い瞳、鋭い眼光。そして真っ黒な体毛に包まれた巨大なオオカミだったと。
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