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既に亡くなっていた祖父は最後まで母の行く末を心配していた。祖父の願いは伯父と母の結婚相手となった男が力を合わせて会社を盛り立てて行って欲しかったということ。
本当ならば多くの孫に囲まれ、その孫たちに自分が作り上げて来た玩具を与えて笑顔にしたかったのだと言っていた。
素直になれない頑固者だった己を最後まで悔いて亡くなったのだと訊かされた時、その想いを俺が引き継ぎたいと思った。
その時から陰ながら伯父の会社を盛り立てて沢山の玩具を生み、世の中に送り出して子どもたちを笑顔にしたいという夢が出来た。
伯父も俺の気持ちを大層喜んでくれ、伯父と甥という関係を表に出さない約束で俺は株式会社TOWAに就職した。
出来る限りお互いの領域に入らないことを条件にやって行くはずだったのだが──……
「……なんだ、これは」
「分かっていただけましたか? 貢が俺の彼女を脅して姑息な真似をして手に入れようとしたんですよ」
「……」
「本当なら伯父さんには関係のない件だったのですが相手が伯父さんの息子となれば話は別です」
「まったく……あいつは何をしとるんだ」
「完全に職権乱用ですね。次期社長としての資質を疑うばかりです」
「はぁぁぁぁ……すまなかった、恭輔。この件はオレが一枚噛ませてもらう」
「お願いします」
件のボイスレコーダーを晒すと伯父はあっさりと自分の息子のしでかした愚行を謝ってくれた。
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