第九章 ハッピーな未来

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「杏奈、眠かったら寝ていいよ。時間になったら起こすから」 「ううん、眠くない。恭輔は? 大丈夫?」 「俺も眠くない。うん、全然……かえって段々目が冴えて来て……」 「?」 (なんだか恭輔、ソワソワしている?) パッと見、普段と変わりない様子の恭輔だったけれど、今日は会ってから少し緊張感が窺えるような瞬間が見え隠れしていることが気になった。 (なんだろう。そんなに流星群を観るのを楽しみにしているのかな) もちろん私も楽しみにしていたからそういう気持ちは解るのだけれど。 「……杏奈」 「ん?」 不意に恭輔が私の手を握って来た。 「……」 「どうしたの? 恭輔」 「あの、さ。杏奈って俺と一緒にいて楽しい?」 「は?」 (何、その突然の質問) 「俺は杏奈と一緒にいると楽しい──というか、幸せで時々泣きたくなるくらいに胸が苦しくなるんだよね」 「ちょ、いきなりどうしたの? なんで突然そんなことを」 「いいから、訊かせて。俺といて楽しい?」 「勿論、楽しいに決まっているよ。恭輔と同じで私だって恭輔といると幸せだし好きって気持ちが溢れて来て時々窒息しそうになる時だってあるもの」 「本当?」 「本当」 「そ、そっか……ははっ、嬉しいな」 「?」 (一体どうしたというのだろう) いよいよ本格的に恭輔がおかしいと確信した。
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