第一章 フラれ女

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「はぁ? またフラれたぁ?」 「……ん」 「今年に入って何人目よ」 「……三人目」 「って、まだ今年始まって三か月だよ? 一か月に一人ペースかよ」 「うぅぅ~~」 (こんなのもう泣くしかない!) だってこんなフラれ人生、この先生きていたって何も楽しいことなんかきっとないだろう。 「杏奈はさぁ、受け身過ぎだよ」 「受け身じゃないよ」 「告白されたらすぐに付き合うじゃん」 「だって付き合ってみないと合うか合わないか分からないじゃない」 「まぁ、それはそうだけどさ。でもOKしたその日にセックスするっていうのは普通に考えておかしいよ」 「どうして? というかセックスしないでどうやって男の好し悪しなんて分かるのよ」 「えぇ、そこから?」 「だって……だってだってぇぇぇぇ~~~」 「あぁ、もう泣くな! いい女がみっともない」 「うっ……うぅぅぅ~~~」 同僚の瀧川志麻子(たきがわしまこ)は口が悪くてもいつもこうやって愚痴を訊いてくれるからとってもありがたい存在だった。
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