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私は佐東杏奈。ごくごく普通の高卒OL歴四年目の21歳。
職業は平凡なものだったけれど、その見た目は他より秀でているようでこれまでの人生はモテモテ街道まっしぐら。
私自身も高校生までは自分がモテることを自覚し、それに対しての優越感もガンガン持っていた。──が
『佐東杏奈? あれはダメだわ~』
『そうそう、ほんっと見かけ倒し。付き合っても全然面白くねーの』
『性格? や、それはいいんじゃねぇ? 美人で性格良くてスタイル抜群。え、文句ないって? いやいや、それがさぁ──』
高校生の時に蔓延った私に対しての酷い噂のせいで本来のモテ期はあっという間に廃れ、その代わりに付けられた不名誉なあだ名と、違った意味でのモテ期が到来。
『まぁ、話のタネに一回付き合ってみろよ』
『顔と体だけは最高だからな』
『誰でもOKするってよ。節操ねぇの』
そうやって陰口を叩かれてもやっぱり私は真実の愛を求めて、来るもの拒まずで告白されたらそれを受けて来た。
一度でも付き合ったことのある男の数という名目のカウントなら三桁を行く勢いだ。
だけどそれだけの人と付き合っても私の恋愛は三か月以上続いたことが一度もなかった。
(どうして上手く行かないの!?)
私はただ純粋に一途にたったひとりの人を愛したいだけなのに。そのたったひとりの人を見つけるのがこんなに大変だとは思わなかった。
(はぁ……本当にいるのかな……私のたったひとりの王子様)
そんな夢見がちなことをいつも頭に抱いている見かけ倒しの私だった。
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