第五章 衝撃のシンソウ

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私の彼は【ナイン】という源氏名の元AV男優でした。 (そっか、九重の九でナイン。そして9でキュウちゃんな訳ね) 幾つもあるナイン出演のAVのパッケージを見ながらそんなことを考えていた。 (これ、観たいような……観たくないような……) 恭輔が映像の中でどんな風に演じているのか気になる一方で、私以外の女の子としているのは観たくないという葛藤が頭の中でせめぎ合っている。 「なに見ているの」 「!」 シャワーを浴び終わった恭輔がベッドで寝転がりながらパッケージを見ていた私の隣に腰を下ろした。 「もしかして観たいの?」 思っていることをズバリ言い当てられて思わず目が泳いでしまう。 「図星か。観たかったら観てもいいけどさ、全然面白くないよ」 「そうなの?」 「うん。だってこんなのシナリオ通りにただ腰振っているだけだもん」 「!」 (凄い……子ども顏した恭輔がエロいことサラッていうの、グッと来る) もしかして私もショタコンというものになるのだろうか──なんて覚えたての言葉を使ってみたりした。 「そういうの、本気の俺に愛されている杏奈が観たらきっと解ると思う」 その自信に満ちた恭輔の言葉に体の奥底がジュンと震えた。 (本当、サラッとした言葉でいちいち私を悦ばすんだから) 堪らない気持ちを感じながらも恭輔の言葉で少しだけ観たい気持ちの方に傾いて来た。 躊躇いつつも数多くある中から一枚を手に取り「これ観たい」と恭輔にお願いした。 「家庭教師ものかぁ。これ、全く面白くないよ」 「いいから、観せて」 「はいはい」 恭輔は少し苦笑しながらAVをDVDプレイヤーにセットしてくれた。
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