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第六章 カレシの実家
休日明けの出勤日。お昼休憩にまた私は志麻子に話を訊いてもらっていた。
「えっ、実家に行く?」
「……うん」
「ちょっと、もうそういう話、出ているの?」
「そういう話って」
「結婚に決まっているでしょう」
「まさか! 付き合い始めてから一か月も経っていないのよ」
「まぁ、そうだよね。それにしたってさぁ早過ぎない?」
「早過ぎ……だよね。まぁ戸惑ってはいるけれど嬉しいって気持ちもあるんだよね」
「えぇ、そうなの? なんか嫌じゃない?」
「なんで? ご両親に紹介してもらえるなんて嬉しくない?」
「普通は緊張するもんだと思うけど」
「緊張はするよ」
緊張──めちゃくちゃしている。それに付き合い始めてそんなに日が経っている訳じゃないのに紹介ってどういうつもりなのかなって気持ちがあった。
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