第六章 カレシの実家

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でも、正直にいうと嬉しいという気持ちの方が緊張感よりも大きかった。だってご両親に紹介してくれるってことはつまり…… (将来を見据えているって思っていいんだよね?) 頭を過るのは【結婚】の二文字。私的には今すぐでも全然OKって感じのノリだけれど、恭輔はまだ入社一か月ほどで、そんな状態の中で結婚を考えるものなのだろうかと首を傾げる。 「でもまぁ、そんなに深く考えなくてもいいんじゃない? 彼の方も大した意味があって杏奈を実家に連れて行く訳じゃないかも知れないし」 「……」 「顔見せ程度って気楽に考えれば?」 「……そう、だよね」 確かに実家イコール結婚なんて考えは今時古いのかも知れない。 「ところで彼氏の実家って何処よ」 「静岡だって」 「へぇ、ちょっとした旅行ね。あ、でも今から新幹線とか席取れるの?」 「彼がレンタカー借りるの。ドライブがてら行こうって」 「ひゃ~いいねぇ。楽しんでおいでよ」 「うん」 志麻子と話していて気持ちが少し楽になった。 (そうだよね、なんでもすぐに結婚に結び付けるのは止めよう) そう思うと益々静岡旅行が楽しみになった。 休憩を終え、志麻子と別れひとり庶務課に向かって歩いていると「佐東さん」と声を掛けられた。
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