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だけど恭輔はすぐに話を元に戻した。
「店は多分雅哉が継ぐと思う」
「え」
「だってあいつ、ずっと『この店の駄菓子は全部おれのものにするんだからな!』って言っていたからさ」
「それって単にお菓子が食べたいからいってるんじゃ」
「うん、まぁそんな軽い感じでいってると思うけどね。でも仮に雅哉も真己子も継ぐ気はないっていったらそれはそれでいいと思う。いざその時になって母さんや父さんが店を潰したくないと思ったらまぁ、俺が何とかするかなって感じだけど」
「……」
「もっとも今の経営状態じゃいつ潰れてもおかしくないからね。別にそんなに伝統のある店じゃないし。臨機応変に構えているよ」
「……そっか」
確かにまだまだ先の話だろう。恭輔が考えている程度に気に留めておくのでいいのかも知れない。
「それに俺、今の会社入りたくて入ったからね。当分は辞める気ないよ」
「え、そうなの?」
「うん。昔から玩具に関わる仕事したくてさ。今は庶務課に配属されているけどいずれは部署替え申請して営業か商品開発部に行きたいと思っている」
「……」
(驚いた)
恭輔の仕事に対する野望──というか願望を初めて訊いたので少し驚いた。
確かに新入社員が希望する部署に配属されることは滅多になく、ある年数人事部が決めた部署での仕事ぶりにより希望する部署への転属届けが出せるのだ。
(そっか……恭輔は会社でやりたいことがちゃんとあったんだ)
そう思ったらなんだか恭輔が頼もしく思えたのだった。
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