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15 女の子同士
前世の記憶が日に日に薄れていくのは、
私が大人になっていくからだと思った。
もう、前の記憶は必要無い…。
そう、神様が言ってるのだろうか…。
「( 私の場合…ネコ神様だろうけど… )」
いつもと同じ時間である8時頃に起きて、背伸びをしてはベッドを下りて、部屋を出る。
尻尾を立てて廊下を歩き、階段をリズムよく下りて、リビングへと行く。
「 ミヤァッ〜( おはよ〜 )」
「 おはよう、ラナ 」
「 おはようございます 」
先に起きていた二人から其々に挨拶をして貰えば、パパの方に行きソファに座ってる膝の上へと乗れば、顔を向ける。
「 はいはい 」
いつものように鼻先へと口付けを貰い、姿が人間へとなれば、僅かに顔を背けてるパパを横目に、膝の上から下りる。
「 ラナ、服を着ましょうか 」
「 うん! 」
クローゼットに入っていた冬服を一式取り出したクウから服を受け取り、パンツから履こうとすれば止められた。
「 もう少し離れたところで着替えてくれ 」
「 見ても減るもんじゃないのに… 」
「 そうだとしても、少しは遠慮しろ 」
なんの遠慮なんだろう…と思うけど、仕方無くソファから離れた後側で着替えの続行をしようと、パンツを履こうと太腿に通して、穴かは尻尾を取り出し、
次に子供用のブラを掴み着けようとすれば、手が止まる。
「 どうしました? 」
「 ブラが…入らない 」
「 っ!ゴホッ、ゴホッ!! 」
パパが飲みかけた珈琲が器官に入って噎せてる様子を放置し、また急成長した身体に落ち込んで、カーペットへと両手をつく。
「 この身体…14歳ぐらいになってる…。昨日は…まだきつかった程度なのに… 」
「 そろそろ生後7ヶ月半ですもんね… 」
「 成長したくない… 」
言葉もハッキリ喋れるようになったし、身体の凹凸だって前よりある。
お尻小さめなのは嬉しいけど…、だからといって横幅やら胸が成長すると子供ではなくなる気がして嫌だ。
「 とりあえず、事前に買っていた此方のサイズを着けましょう 」
「 はぁーい…… 」
クウから新しい下着と服を取り出して貰えば、子供っぽい可愛いポンチョみたいな服は終わりかなって思い、仕方無く着ていく。
「 着れる… 」
「 それなら良かったです。今迄着ていた服はオークションに出しましょう。クティノス専門の服は高価なので、購入する方もいますので 」
「 下着は全て処分してね 」
「 畏まりました 」
下着すらもオークションに出されたくない為に、それだけは釘を打てば私が着てる間にオークションに売りに出してるように片手を動かして、電子パネルを弄るクウをチラ見しては、着替える。
「 出来た、歯磨きしてくる 」
「 嗚呼… 」
パパの小さな返事を聞けばリビングを出て、脱衣場の近くにある洗面器の前へと行けば、自分の容姿を眺めた。
「 1ヶ月で2歳ずつ年取って行くのはキツイな…。あっという間にお婆ちゃんか… 」
今は日本人離れした、若々しい英国美女みたいな顔だけど、それが直ぐに老人になると思うと寂しい気がする。
自分の頬に触れ、少し眺めた後に、洗顔やら歯磨きをしていく。
「 朝ご飯をどうぞ 」
「 クウ、ありがと 」
「 いえいえ 」
出されたのは野菜とサーモンの蒸し焼き、チキンの豆乳スープ、キャロットケーキだ。
どれも゙ネゴが食べれるものである為に、人間にとっては味が無いけれど、私はネコの味覚になってるから気にならない。
先にサーモンの蒸し焼きから口に含み、ミルクのソースが美味しいなぁと思う。
「 水無瀬様もキャロットケーキをどうぞ。此方は味付けをしてますので、食べれますよ 」
「 そうなのか…頂く 」
乗ってるホイップクリームはきっと甘いんだろうなぁと思いつつフォークを持って一口口に運んだパパを見ていれば、小さく頷き仕事の画面へと視線を向ける。
「 しっとりとしたシフォンケーキみたいだな。悪くない 」
「 美味しいって言ってやりなよー。クウ、どれも美味しいよ 」
「 ふふっ、ありがとございます。ですが、水無瀬様は口に合わないものは食べない主義なので、口に運ぶだけ十分ですよ 」
「 そうなんだ?まぁ、そんな感じはする 」
一口、二口と口に運ぶ様子に嫌なら食べなさそうなのは分かるから、小さく頷いてから自分の分を食べていく。
ネコ用だからどれも小さくて、可愛らしい盛り付けだけど、一回に食べる量を減らしてくれてるから、全部食べきることが出来た。
「 食べた!ごちそうさまでした。美味しかったー 」
「 ふふっ、なによりです 」
両手を合わせてごちそうさまと告げては片手を舐めて毛繕いをしようとした本能にハッとしては、ソファへと倒れる。
「 今、人だった…… 」
「 今更だろ 」
「 んー……いいんです 」
そう言う割に、私が横に居ても頭を撫でなくなったのを知ってるし、私も敢えて膝の上に頭を乗せなくなった。
「( 流石に…見た目が14歳の娘が甘えたら変だよね… )」
「( 完全に避けられてるから…如何したらいいのか分からない… )」
起きたがって、少しだけパパの方に背中を向けていれば、皿洗いを洗い物担当のロボットに任せたクウはやって来ては、笑った。
「 ラナ、今日は私と二人でショッピングに出掛けませんか? 」
「 え、楽しそう!行く! 」
「 えぇ、行きましょう。水無瀬様、宜しいですよね? 」
「 構わないさ。行ってこい 」
「 やったー!ショッピングとか、楽しみ! 」
ネットで勝手に買ったり、ドライブスルーみたいなショッピングじゃ無ければきっと楽しいと思い、素直に喜んだ。
白いケープコートに膝丈のスカートを履いて、耳が隠れる程の大きなフードを被る。
尾は仕方ないけど、耳の先が冷たくなるよりマシだ。
「 手袋は?マフラーしたか?何故膝丈なんだ、風邪をひいたらどうする 」
「 大丈夫だよ…… 」
雪も降ってないし、そこまで寒くならないのに大袈裟な…と思ってから、クウの側へと行く。
「 パパはお家で仕事してて!クウ、行こ。行ってきます 」
「 では、行って参ります 」
頭を下げたクウの腕を掴んでリビングを出ようとすれば、少しだけ寂しそうなパパが居たけれど放置した。
゙GPSで位置情報を確認しておきますか?゙
「 そんな事したら嫌われる、だが…心配だ…。尾行するか 」
゙その方が嫌われるかと思いまず
「 だよなぁ……はぁーー…よし、決めた 」
心の中で、パパが来ない事を何気無く祈っていた。
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