15 女の子同士

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「 忘れてたけど…クウって車だったんだよね。てか、いいの?運転手いなくても… 」 家から出れば、クウがスポーツカーの様な車にトランスフォーマーして、その後部座席に乗ったのはいいけど、普通に走り出した事に違和感を覚える。 ゙問題ありません。自動運転機能の際に事故した責任は、水無瀬様になりますので゙ 「( 大有りだと思います! )」 何一つ問題ない訳では無かったから、やっぱり責任は誰かしら取るはめになるよね…と肩を落として、外へと視線を向ける。 「 じゃ、安全運転で頼むね 」 ゙勿論でず パパと出掛けるときは、空での移動が多いから、こうして陸を走るのはなんとなく久々だと思った。 閑静な住宅街を離れると高速ビルが建ち並ぶオフィスやショッピング街へと出る。 「( これが…巨大なドームの中って思えないな… )」 完全人工都市となった100年後には、飛行機型の車が飛び回って、100年前に見たビルよりもっと高いのが建っている。 技術の進化なのか、ガラス張りが多く形も只の長方形では無いのが多い。 「 でも…人間の割合の方が少ないんだよね 」 ゙えぇ…日本の人口は約1600万人程でしょゔ 100年前は約1億2600万人居たはずの人口が、 1600万人程まで少なくなっていれば、経済を補う為にロボットが活躍するのは可笑しくない。 「( 江戸…いや、戦国時代が終わる16世紀頃の人口かな… )」   なんとなく、そのぐらいじゃ無いかなと思っていれば、歩道を歩く人達と殆どロボットなんじゃないかと思えてきた。 「 じゃ、世界人口は? 」 ゙約38億人ですね゙ 「( 196ヶ国あって…その人口は少ないな。当時は80億人を超えてたのに…。100年後には、110億人になるはずだったのに…。戦争と言うのは愚かだね… )」 1日20万人増えてた世界人口は、戦争を経験した後、飢餓や流行り病で多くの民を失った。 世界中が壊れて、やっと増え始めた頃には… 人間よりロボットの方が多いのは、如何なのだろうか。 ネコである私には関係ないと思いながら、 少し寂しいとさえ思った。 ゙そろそろ到着いたしまず 「 あ、うん。わっ…… 」 考え事をしていれば、いつの間にか大型ショッピングモールに到着したらしく、そこは遊園地を含めた、大きなテーマパークのようだった。 入り口から程近いところで停車した車から、ゆっくりと下りれば、車はトランスフォーマーして、見慣れた女性の姿へと代わった。 「 すごい!ママ見た!?あのクルマ、ロボットになった! 」 「 超高級車じゃないか…あのお嬢さん何者 」 「 戦闘機1台より高いらしい… 」 「( この車、一般的じゃないのぉぉお!? )」 当たり前のように使ってたから、てっきり一般の普通車と思ってたけど、やっぱり違うみたいで困惑する。 一気に視線を浴びて、噂される事に耳を塞ぎたくなれば、クウは片手を向けてきた。 「 では、ラナ。行きましょうか 」 「 え、あ…はい( 格好いい… )」 周りの噂など気にもせず、女性なのに紳士的に対応してくれるクウに見惚れつつそっと白手袋をした片手を取れば、黒いロングコートを着た彼女は歩いて行く。 「( 流石…執事… )」 女性の姿であるのは私の為であり、本来は執事として作られたのだから、エスコートが得意なのは無理ないと思った。 身長も170cmを超えてて高いから、好きになる人はいるだろうなぁと他人事の様に思って、建物を見上げる。 「 ふぁー…… 」 未来的…と言うか近代的。 植物が沢山植えられてる外見とは違い、中は中央部分が空洞となり、細かなお店が並ぶ。 空中には、立体的なホログラムのザトウクジラや海の魚が泳いでいて、まるで海の中にいるような錯覚になりそうなぐらいだ。 「 人?が多いのに…なんか避けられてる気が… 」 沢山の人が居るにも関わらず、ぶつかりそうな人は現れないし、 寧ろ…歩くスペースが完全にあるから、他所を見してても平気に思える。 それが何故だろう?と思っていれば、クウは視線を足元に落とした為に同じく下を見る。 「 ロボットには造られる段階で階級が定められているのです。その為、上位のロボットの電磁波を読み取り、他のロボット達は道を避けるのです 」 「 あー……。金持ちの特典ってやつね 」 天皇陛下やアイドル等が来る時に、道を開く…人間の動きと同じようなものなんだと察した。 「 そういう事です。まぁ、人間の子供にはそんな事通用しませんけどね 」 「 あっち行こうぜ! 」 「 うぇぇい!! 」 目の前を通り過ぎる元気のいい子供を見て、追い掛けてる親は敢えて私達の後ろを通って行く様子を見ると、つい笑みが溢れる。 「 子供らしくていいと思う。あ、私もまだ…子供だけど? 」 「 ふふっ、そうですね。ゆっくり見ていきましょう。35万6,000m²の中に約850店舗、ありますので 」 「 ん?それ…1日で周りきれる? 」 「 無理ですね。なので4つのエリアに分かれてますので、消去法で行きましょう 」 普通に超小規模な国より大きなショッピングモールに驚きながらも、エリアが分かれてることに安心しては、空中に電子地図を取り出したクウは、店を見せてくれる。 「 玩具•子供用品や親子連れ、アウトレット商品があるエリアは除外しましょう 」 「 まぁ、確かにそれは興味ないかな 」 「 では2階は無しと…。ゲームコーナーやゲームセンター如何でしょうか 」 「 それもパスで…って思ったけど。見て回るのないかも、女性服も…パパやクウとか買ってくれてるし 」 今思うと見て回ると言われても、十分過ぎるものを得てるから、何も買う必要もないし、見るものもない。 「 買わなくても、見るだけでも宜しいのでは?因みに外の遊園地コーナーには8ヶ所のイベント会場がありますし、ここの地下には水族館もございますよ。まぁ、水道水を海水に見立て、本物の遺伝子と容姿を持つだけの…クローンですけど 」 「 ふふっ、まぁそれは追々として…見てる回るのはいいかも。女性向けエリアに行こう 」 「 畏まりました。では、4階ですね 」 今のエスカレーターは階段では無く、乗っただけで急に浮遊して行きたい階に直接行けて、ちょっと驚いた。 手摺があるとは言えど、エスカレーターとは違った感覚があり、楽しいとも思う。 「( あのエスカレーター?…自動で戻るんだ 」 私達が4階へと行けば、エスカレーターは元あった場所へと戻って行った為に笑みを溢して、歩き出す。 「 てか…この階だと…鯨近いなぁ… 」 「 8階辺りだと、真上から見ることになりますよ 」 「 へぇ、面白い… 」 ホログラムと言っても、実際の鯨と変わらないぐらいの迫力があるから、4階だと腹辺りが見えて面白い。 この鯨を見てるだけでも時間が潰れそうだと思ってから、テナントの方へと目を向ける。 「 待って、可愛い!! 」 100年後だからてっきり好みが変わってるのかと思ったけど、昔の服が流行るように…。 この時代も、前世とそんな変わらなかった。 寧ろもっと、可愛い物が増えていたんだ。
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