17 もう一度

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17 もう一度

目を覚ませば、音も無くホバリングする厳つい飛行機っぽい戦闘機と見た事もない武器を出しまくってる戦車が居て。 その中央には見覚えのある人物が立っていた。 「 こんな、ロボット…持つなんて…。戦闘ロボット開発者の水無瀬しかいな……まさか… 」 「 待ってくれ!!本当に、出来心なんだ!だって、あんな店に… 」 「 御前等みたいなゴミクズ。塵となって消えろ。俺を此処まで来させたこと…あの世で後悔しろ……。撃て 」 「「 !!!! 」」 パパがどんな人で、どんな会社の社長なのか…。 私には関係無いし、知っても知らなくても良かった。 普段与えてくれる些細な優しさとか、無口なりに不器用な愛情とかも知ってた。 凄くお金がある人なんだな…ってぐらいだから、なんだっていい。 でも、人を殺しては欲しくなかったから… 動いていた。 「 んみゃっ! 」 「 っ!?ばか、動く…が、はっ! 」 楓…と言うロボットが、私を捕らえていたロボットを倒してくれたお陰で腕から逃げる事が出来て、 そのまま掛け走っては、抱き着いていた。 「 ミャァー!!( パパ、ダメ!! )」 「 っ!!?ラナ!? 」 ゙発射…停止しまず 武器が下りた事に安心するけど、其れでも首を振る。 「 私…大丈夫だから…。もう帰ろう? 」 「 っ…分かった…。帰ろう…俺達の家に 」 まだ怪我をさせられて無いから、それ以上の事は必要無いと微笑めば、彼等の声に耳は動いた。 「 ラナ!!! 」 「 我が主!!! 」 何故か、急に発動した護衛型ロボット達の焦ったような動きと共に一発の銃声音が、倉庫の中を響いた。 「 パパ……? 」 「 ラナ…っ、……! 」 「 ざまぁね……イキり…金持ちが… 」 「 貴様ァァア!!! 」 腹部に感じる焼けるような痛みとパパの眉が動き、背後では楓が二人の首を刎ねた事が分かったけれど、それを怖がる余裕も無かった。 「 パ、パ…… 」 「 ラナ…っ、ゴホッっ…! 」 膝から崩れ落ちるような感覚に、冷たい地面へと当たる前に、パパは支えてくれたけれど、自らの腹の痛みに耐え切れず、膝を付いた。 「 ッ…ラナ、ラナ…。頼む…死なないで、くれ…。大丈夫だ、直ぐに医者に見せやるから 」 「 我が主も直ぐに止血を!!御前等、何をぼさっと立ってる!早く病院に急げ!! 」 「「 は、はい!! 」」 楓はパパを支えて、クウは私を抱きかかえては、移動速度の速い、スカイと呼ばれる車の方に乗り込んだ。 「 想羅…ラナ、を…… 」 「 っ……はい… 」 綺麗なシーツが赤く染まり、彼等が傷口を押さえても溢れていく。 私の方は貫通して、パパの方には弾丸が埋まってるようで、酷い激痛を感じるはずなのに、私の頬で血で濡れた手で触れる。 「 ひさし、ぶりの…ひざ…… 」 「 ら、な……。すまない……愛してる…ラナ…。俺と結婚してくれ…。俺は…オス猫じゃないが…御前と、ずっと、一緒にいたいんだ… 」 何処か遠くに聞こえる声に、パパの本音が聞こえたのが嬉しくて、揺らぐ視界に笑みを零す。 「 らぐ、どーるに…なったら…いけめんならしゃちょうに、きゅうこん、されるなんて… 」 「 何言ってるんだ…俺は、何一つイケメンじゃない…。綺麗になっていく御前が、離れていくんじゃないかって不安だった……っ、ラナ…俺を、置いて…いかないでくれ… 」 「 ネコ、に……なって、よか……た………( パパに…水無瀬に会えて…よかったよ… )」 ネコの一生は儚くて、そしてあっという間。 1ヶ月事に2歳ぐらい歳を取って…、 小さくて可愛い姿なんて、一瞬のよう。 それでも、残りの時間を… 衰えていく身体でも、 ずっと居てくれると言う主人に巡り会えれば、 それで十分ではないのだろうか…。 「 ら、な……っ……ラナ……。ゴホッ、ゴホッ……! 」 「 水無瀬様!これ…ラナ様が、貴方に贈りたかったものです…。本当は、御本人から…お渡ししたかったのですが… 」 「 っ……、そう、か……。ありがとうな、ラナ… 」 もし、次に会えるなら…。 んん……そんなのは望まない。 だって、貴方に出会えた 此の短いネコの一生が… 幸せだったのだから……。 最後に心残りがあるなら、 ブルーサファイアのついた ネクタイピンを上げたかったな…。
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