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1話:幼馴染との朝。
綾瀬花梨(あやせ かりん)。小学6年生。
私は"今"好きな人が居なかった。
だから、今日も幼馴染みの恋バナを聞いていた。
「昨日さ〜!放課後、遊んだじゃん?」
「うん、遊んだね」
「花梨が帰った後に礼斗と会っちゃって〜!」
「うん、一緒に帰れたの?」
「それがねー?恥ずかしくて逃げちゃったっていう...」
「それいつもじゃん!」
私の幼馴染、椎奈凛(しいな りん)は、好きな人からまた逃げたらしい。
その人は昔から凛と仲が良い蒼波礼斗(あおな らいと)。
恥ずかしいのは分かるけど...会っただけじゃん!
逃げたら何の意味もないでしょ!
まぁ好きな人が居ない私は何か言える立場じゃないけど...。
「まぁ私の話は置いといて!花梨は最近どうなの?」
「私〜?私は凛の話聞いてるだけで充分だよ!」
「もう!花梨は美人だし性格もいいからモテるのにー」
いつも言われるんだけど...。
凛の恋バナが終わったら、私の恋バナに移る。
私は好きな人居ないの!
4年生の頃に失恋したばっかりなのに...。
「花梨!いつまでも過去の事ひきずってたら何も変わんないよ!?」
「別にいいもん、私は好きな人なんて居なくても生きていけるし」
「そうだけど!柚木はもう気にしてなさそうだよ?」
「そういうことじゃなくて...」
私は2年生の頃から、柚木流空(ゆぎ るあん)の事が好きだった。
多分、運動神経が良くて優しくて、イケメン。
女子にもすごくモテてた方だし。
私は4年生に上がって、3日後、柚木に告白した。
でも、返事は最悪。
『ありがと、でもごめん。俺、他に好きな人居るから』
『...そっか、聞いてくれてありがとう』
しかも、他に好きな人が居るって言われた。
私も返事をした後、トイレに駆け込んで泣きまくった。
今まで2年間好きだった意味は何だったの?
勇気を出して言ったのに、何で私は報われないの?ってね。
これで泣かない人、私はすごいと思うけどなぁ。
「あ、ごめん!花梨嫌なことあったのに、思い出させちゃった...」
「別に!気にすること無いよ!凛は悪くないんだし」
私が目を赤くして教室に戻ったら教室に居た人達が皆ビックリしてた。
そんな私に凛はどうしたの?って1番に聞いてくれた。
他の子達も聞いてくれたけど...。
優しくしてくれた凛に謝らせる権利何か、私にはない。
「まぁ!とりあえず好きな人出来たら教えてね」
「う!あーもう分かったよぉ...」
凛の目がキランって光った。
わぁ、これはだいぶ本気の目だな。
私に好きな人なんか出来たら、一瞬で見抜かれそう。
「やっと着いた〜!花梨、行こ!」
「うん、『やっと着いた〜!』って毎日言ってるけどね?」
私達の家は他の子達よりちょっと遠いから学校に来るまでが疲れるんだよね。
まぁ、凛といっぱい喋れるっていう良いこともあるけど...。
「私達クラスちがうからなぁ〜。じゃあね凛!」
「うん、バイバイ!」
そうして私達はそれぞれ教室に向かった。
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