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「ハ、久三男様カラ新タナ機体ヲ下賜シテイタダキシバラク経チマシタガ、動作ニ支障ゴザイマセン」
ヴァズはそのどデカい図体を折り曲げ、四十五度の最高敬礼で応えた。難しい言葉を所々使っていてわかりにくいが、要するに元気ってことで間違いなさそうだ。
「まあなんだ、お前も座れや。今日は久しぶりに豪勢な昼飯だしな」
背後から冷ややかな視線を感じるが、とりあえず無視する。どうせ急いだところで遅刻確定だし、だったら久しぶりにゆっくりと自宅で飯を食った方が精神衛生的に良い。やっぱり北支部で昼飯を食うのと家で食うのとでは、断然家の方がリラックスできるのである。
「申シ訳アリマセン、澄男様……」
久しぶりに大勢で食事できる―――その現実を嬉しく思う傍ら、ヴァズの顔半分を覆う巨大なバイザーがほんの少し暗くなった。
「私ハ自動人形ユエ、皆様ノヨウナ食事ヲ摂ルコトハデキカネマス」
「あ。ああ、そうか……お前ロボットだから食えないのか」
表情の変化の真意に気づき、申し訳なさげに頭を掻く。
胸筋あたりが不自然にデカいこと、顔半分がデカいバイザーで覆われていること、そして声が少し機械的なところを除けば、外観は人間と大して変わらない。
見た目が人間に近いから思わず飯食うかと言ってしまったが、ロボットなのだから人間が食べる飯は食べられないのが道理だ。ロボットっぽいところがあんまりないし、仲間って認識だったから配慮に欠けていたのはいただけない。
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