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「す、すまんな……えっと……お前って日頃何食べてんだ?」
人間の飯は食べられない。それはロボットだから仕方のないことだとして、問題はヴァズが何を食べているかだ。ロボットだからオイルか何かをがぶ飲みしているイメージしかないのだが、実際のところどうなのだろうか。
人の言葉を話し、対等に意思疎通ができる機械の扱いなんて分からないし、仲間だと認識している以上、知らないでは今後不都合が起こってしまう。
自分のことに興味を持って嬉しかったのか、さっきまでの翳りのある表示から一変。ヴァズの頭部に装着されたどデカいバイザーが虹色に光った。
「私ハ擬似霊力炉心ヲ搭載シテオリマスノデ、外部カラノエネルギー供給ヲ必要トシテオリマセン」
「つまり腹減らないのか。便利な体というべきなのか、美味しいもの食えなくて勿体ないというべきなのか……」
俺に配慮なんて到底無理かもしれない。自分が馬鹿正直に本音を言ってしまったことに急いで口元を手で塞ぐが、もう遅いとヴァズをチラ見する。
だがやはりヴァズの表情に翳りは見当たらず、胸筋に負けず劣らず存在感を主張するバイザーが青く光った。
「戦時ハ補給ヲ必要トセズ戦エマス。ゴ一緒ニ食事デキナイノハ無礼ノ極ミカモシレマセンガ、何卒ゴ容赦ヲ……」
そう言って頭を深く垂れ、跪いてきた。予想外の行動に「お、おう……」としか返せなかった俺だったが、すぐに「頭を上げろ、そしてもう席に着け」と優しく肩に手を置いた。
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