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人類の存亡すら脅かす暴威―――スケルトン・アーク。パワー馬鹿の新人や全力を出していたであろうトト・タートを同時に相手取り、互角以上に渡り合った化け物。人里に降りれば人類が滅ぶというのはあながち嘘ではないと、実物を目の前にして悟った。身体から滲み出る大量の闇の瘴気は、並の魔法防御力では抵抗できず、身体に大きな不調をきたしたほどだ。
闇に汚染されたあの場所で、戦える者はその時点で人を超えていると言っても差し支えない。
「百代が参戦した以上、正直負けはない……が、そもそも奴はどうやって、俺たちが守っていたシェルターの中に入れたんだろうな……」
「それは転移魔法を使ったということで、決着がついているのでは?」
「確かに結論づけはしたし、俺もそれで納得はしてるんだがな……要は転移魔法を使った後、あんなに動けるようなもんなのかなって」
信じたくはないが、双剣使いが閉ざされたシェルターに入った手段は転移魔法``顕現``によるもので間違いない。シェルターの出入り口は自分たちが塞いでいたし、穴を掘って壁を突き破るといった原始的なやり方を使えば音や気配ですぐに分かる。閉鎖された空間内に何の兆候もなく侵入を果たすには、転移魔法を槍玉にしなければ説明がつけられない。
となると問題は、転移魔法の消費霊力となる。
「転移魔法は本来、今の世じゃあ失われた大魔法……遥か太古の昔に使い手がいたぐらいしか知られてない伝説の魔法だ。正直消費霊力がどの程度か全く判断つかねぇが、空間を飛び越える規格外の魔法を使って、ピンピンしていられるとはとてもじゃねぇが思えない」
思考の海を泳ぐ傍ら、銛で串刺しにした魚を順次御玲やハイゼンベルクたちに投げていく。
転移魔法の消費霊力は想像できるものではない。空間を飛び越える魔法なのだ、人智を超えた量が必要なのではないかとしか考えられないのである。
むーさんに聞けば分かるかもしれないが、残念ながらこの場にいない奴を槍玉に挙げたところで袋小路にぶちあたるだけである。
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