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「誰か知ってるなら良いんだけどなー……」
と、わざとらしく呟きながらハイゼンベルクに熱い熱い視線を突き刺す。御玲も自分の視線に気づくや否や、ハイゼンベルクへ視線を移した。
「……な、なんなのね?」
「いや、お前なら知ってそうだなぁ……と」
「凄まじい偏見なのね!?」
「いや、ぶっちゃけ知ってるだろ? 魔法の一つや二つ」
「今度は馬鹿にしすぎなのね!」
悪戯っ子のような笑みを浮かべながらハイゼンベルクの頬をつつく。嫌がりながら自分の指を振り解くと、さっきまでの緩んだ雰囲気をかなぐり捨てて、場の雰囲気を引き締め直した。
「そうね……この大陸で用いられている転移魔法``顕現``は、遙か太古の昔、``魔人``と呼ばれる偉大な大魔導師様方が編み出した技術の一つなのね」
「魔人か……そういやむーさんが大陸の北方に住んでるとかなんとか言ってたな……」
「知らないのも無理ないのね。彼らは私たち精霊族にとっても神のような存在……お前たちヒト族が及ぶ存在ではないのね」
「なるほどな……で、俺たちが戦ってる奴は、そんな神様が創った大魔法を使えてピンピンしてられる神様の使いみてぇな奴なのか?」
冗談っぽく問いかけてみたが、それはあくまで皆が絶望に押し潰されないよう、少しでも場を緩ませようとの気遣いにすぎない。
転移魔法を創造した神の如き大魔導師。そんな人智を超えた存在が創った魔法を使って尚、自分たち以上に戦える。そうなれば双剣使いの脅威度は一気に跳ね上がることとなる。
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