6人が本棚に入れています
本棚に追加
「はざまーす……」
「やっと起きましたね澄男さま。大大大遅刻ですよ」
「だなぁ……久しぶりに昼まで寝ちまったわぁ……」
どっこいしょーいちとオッサンくせぇことを言いながらテーブルに座り込む。テーブルに置いてあったカートンを手に取り、そこから一本抜き取ると、指先から火を点けた。
現在時刻、昼の十二時前。
いつもなら既に任務請負機関北支部へ向かい、何個か任務をぶん回して、昼飯をつつきながら昼休みと称してダラダラと過ごすのが日課なのだが、今日は違う。昨日まで総勢十三万の暴閥・ギャングスター連合軍を撃退するという、東西南北のうち東を舞台として東、南、北の三支部合同任務に身をやつしていた。
予定外に見舞われながらも任務はつつがなく終了し、戦後処理も終えて帰宅したのだが、慣れない土地や場所で一泊二日も過ごしたのが思いの外精神的ストレスになっていたのだろう。任務そっちのけでグースカと昼まで寝てしまっていた。
現在進行形で朝昼兼用飯を配膳する青色の髪を靡かせるメイド―――水守御玲の話じゃ、いつもの時間に起こしたらしいのだが、死んでいるんじゃないかと疑うレベルで深い眠りについており、無理矢理起こして家を半壊させられても困るということで放っておいてくれていたらしい。
自然起床まで待ってくれたのを嬉しく思ったのも束の間、遅刻して金髪野郎に怒られるの俺じゃねという事実に思い至り、御玲へ視線を向ける。
黙々と配膳する御玲だったが、俺の視線を感じ取るや否や、そっぽを向かれてしまった。煙草の煙が虚しく居間を漂う中、額に手を当て、天を仰いだ。
最初のコメントを投稿しよう!