23.ゆるしの秘跡

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23.ゆるしの秘跡

月の光だけで明るい夜だった。窓際へ行ってその形を確認はできないけど、満月かもしれない。 転移してしばらく経って月を見上げたとき、初めてこの世界も惑星なんだと悟った。正直、この街で生きていくのに必死で、まだこの国どころかこの世界について考える機会はまだ少ない。 でもきっと、地球から見ていた月とは別物なんだろうな。 そんなことをつらつらと考えていたとき、病室のドアが開いてリアンが入ってきた。そのとき薄暗いことが気になったのか電灯のスイッチを入れた。白皙の美貌は疲れている様子だけど、今朝よりはスッキリして見える。 リアンは僕が運ばれたときからなぜか保護者として病院の人に認識されていて、病室に泊まることも許されているんだから変な感じだ。そもそも歳下なんだけど…… 「調子はどうだ?」 「今朝よりかなりいいです。あの、リアンこそ……大丈夫ですか?」 「あ、あぁ。俺はなんともない」 「……」 今朝感動の再会的なものを演じてしまったせいか、なんか小っ恥ずかしくてお互いに黙ってしまった。聞きたいことはいっぱいあった。でもこれだけは先に伝えておかないといけない。 「リアン、ありがとう。まっさきに助けに来てくれて……」 「いやいやいやおかしいだろ。俺のせいなんだぞ?メグが拉致されたのも、怪我してしまったのも。俺がもっとしっかりしてれば……ほんとごめん」 「それは違うよ、リアンのせいじゃない。悪いのは犯人でしょ?僕もすごい迂闊な行動しちゃってたし。あんなに注意してくれてたのに……ごめん」 今度は謝り合戦になってしまった。昔会ってたことを思い出したせいで敬語が抜けちゃったけど、今夜はじっくり話し合いたいから許してほしい。 リアンはシュンと項垂れていて、身体は大きいはずなのに縮こまって見える。可哀想なのになんか可愛くて、未だ立ったままだったリアンをちょいちょいと手で呼び寄せる。 僕はベッドの傍まで来てくれたリアンを引っぱって椅子に座らせ、ええい!と思い切って抱きついた。 「い、痛い!あ〜〜……」 「おい!なにやってんだ危ないだろ!ちょ……一旦離れろよ……」 背中にクッションを挟んで起き上がった状態からだったものの、さすがにいきなり抱きつくのは患部が痛かった。リアンは慌てながらも突き放すのは負担になると思っているのか、僕を引きはがしたりはしない。
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