純太朗さんはワンコ系彼氏

6/12
前へ
/12ページ
次へ
「じゃあ、いってきます。純太朗さん、ごめんなさい。帰ってきたら、いつも通りのお散歩デートをしましょうね」  私はそう言うとその柔らかな頭に顔を埋める。 「ワウォン」 《楽しんでおいで》  純太朗さんはいつも優しい。  身も心もイケメン彼氏だ。 「……お待たせしました」  待ち合わせ場所に到着した私は、思わず顔を引き攣らせる。  先に着いていた芽依ちゃんをポストの陰に引っ張って行く。 「どういうことですか? 有川君達も一緒だなんて……」 「えっ? 私ちゃんと言ったよ? 卓球部の男子も一緒だって」 「うう……」  確かにあの時、私は純太朗さんに色目を使った女ボーダーのことで頭が一杯で、芽依ちゃんの話をちゃんと聞いていなかった。  だけど……。  純太朗さんという彼氏がありながら、他の男子と遊園地に行くなんて、これは浮気ではないのだろうか? 「裕菜もたまには犬のことなんて忘れて楽しもーよ」  芽依ちゃんはそう言うと私の背中をバシンと叩く。  芽依ちゃんは高校に入って初めてできた友人だ。  失いたくはない。  純太朗さん、ごめんなさい。私は悪い女です。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加