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「じゃあ、いってきます。純太朗さん、ごめんなさい。帰ってきたら、いつも通りのお散歩デートをしましょうね」
私はそう言うとその柔らかな頭に顔を埋める。
「ワウォン」
《楽しんでおいで》
純太朗さんはいつも優しい。
身も心もイケメン彼氏だ。
「……お待たせしました」
待ち合わせ場所に到着した私は、思わず顔を引き攣らせる。
先に着いていた芽依ちゃんをポストの陰に引っ張って行く。
「どういうことですか? 有川君達も一緒だなんて……」
「えっ? 私ちゃんと言ったよ? 卓球部の男子も一緒だって」
「うう……」
確かにあの時、私は純太朗さんに色目を使った女ボーダーのことで頭が一杯で、芽依ちゃんの話をちゃんと聞いていなかった。
だけど……。
純太朗さんという彼氏がありながら、他の男子と遊園地に行くなんて、これは浮気ではないのだろうか?
「裕菜もたまには犬のことなんて忘れて楽しもーよ」
芽依ちゃんはそう言うと私の背中をバシンと叩く。
芽依ちゃんは高校に入って初めてできた友人だ。
失いたくはない。
純太朗さん、ごめんなさい。私は悪い女です。
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