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『二十五話:五宝五将』
ぐっすり寝入った薄紫色の髪を優しく撫でる。
―金鳳、貴方に話しておきたいことがあるのです。紫苑の、記憶について…。
いつも凛としていて落ち着いた、母のような人。
彼女の心があれ程まで罪悪感と後悔と、無力に苛まれていた事はなかったように思う。
「菫様…私は、話すべきでしょうか。話して、良いものでしょうか……」
頬を撫でると擦り寄るやわい頬に笑みを浮かべる。
「紫苑様が二次性徴を拒んだ本当の理由を、紫苑様さえ覚えていないその訳を……」
枕元に置かれた眼鏡をそっと容器に戻し蓋をする。
その日は何食わぬ顔で紫苑様を休ませ、朔夜様達の手伝いに徹した。
幸いなことに、私の心を読み取れるものは、誰も居ないから。
翌日、正午。
「いいか暁、絶対手を出すなよ」
「わかってるわよ。今日は玉兎の代理。撮影係に徹するわ」
「本当だろうな…」
「ホントだってば!」
「玉兎が一番来たかっただろうけど……流石に昨日の今日で危険すぎるからね」
「では私は盈月様代理です!いざとなったら皆様まとめて私が乗せて逃げて差し上げますのでお任せください!」
「さすが運搬術士が板に付いてきたね、薄明ちゃん」
「よろしくお願いします、薄明様」
「運搬、だけでは無い術士です!」
「さて、そろそろだ」
村に一番近い花畑。
様々な花が自生し、雪に覆われる冬以外何某かの花が咲き誇っている。
「綺麗なところ…こんな形で来たくなかったな」
「そうですね…」
「また今度来よう。曙も一緒に」
「…うん、そうだね」
「ん、なにか聞こえる?」
声を辿ると花畑の中から笑い声が聞こえた。
声の方へ目を向ける。
「……なっ?!」
全員が目を疑い、思わず絶句した。
そこに居たのは一人と二体。
「これこうして……ほら」
「わぁ!!すっごーい!曙めーっちゃ器用やん!」
「このくらいなんでもないよ。はい、あげる」
「いいと?!」
「ん、ほら」
「わぁぁ!!かわいい!かわいい!ありがとん!」
海月のような帽子に白詰草の花かんむりをぷかぷか
浮かべ、嬉しそうにくるくる回る水製の少女。
「曙はなんでも出来てすごいわねぇ。お母さん鼻が高いわ」
「このくらいなんでもないよ」
先の黒い白い羽を広げ曙を抱き寄せる露出の多い女怪と、女怪にもたれ掛かり嬉しそうな曙の姿。
「ん、お母さんすき」
「私も愛してるわ、曙」
甘えるようにすりすりと肩に擦り寄る曙の髪を優しく撫でる女怪がちらりとこちらを見て、勝ち誇ったように妖艶な笑みを浮かべた。
「アンタ曙に何をっ、」
暁がいの一番に硬直から解け、1歩足を前に出そうとするも、
ドォォン!!
上方から轟音と共に、剛腕の化け物が間に入るように現れた。
「おぉっと、これ以上はお手付きだぜ」
快晴さえ僅かに超える長身に全員が一歩距離をとる。
「びっ…くりした……ちょとこわかった……」
「大丈夫よ、曙。よしよしいい子いい子…もうゴウシ!曙が怖がってますわ!もう少し静かに出てこれないんですの?」
「あーん砂がお水に入ったー!ゴウシのばかー」
「お前らが先に文句言うな!!決まんねぇんだろうが!!」
「やーいやーい、ゴウシのぶきっちょ〜」
「くららてめぇ後で覚えてろよ…!!」
今度こそ居直るように前を向き、臨戦態勢の人間を見下ろす。
「ンンッ、いいかお前ら耳の穴かっぽじってよく聞け!俺様は常闇様が側近、五宝五将が一翼、金のゴウシ!常闇様の両腕だ!!」
六本の腕を折り曲げ、厚い筋肉を大きく隆起させた。
(此奴をつくる密度が殊更に濃い…口だけじゃないようだな)
朔夜がぐっと握り拳を握りしめる。
そのままふわりと羽を広げ、ふわふわと空を泳ぎゴウシの両隣に花畑の二体が立った。
「ふふ、ご挨拶だけ。私は五宝五将が一翼、真珠のウトリと申しますわ」
「ウチはさんご!珊瑚のくららって言うんよー。よろしくねん〜」
片翼を折り頭を下げ、空を上下して笑みを浮かべる。
「あとぉ、コクイとヒエンがぁ」
「そりゃ今言わなくていいんだよ水頭!」
「そだっけ?めんごめんご〜」
「さ、私は曙が待っていますので失礼しますわ〜」
「ウチもー!」
曙の元に戻る二人を引き止めたいが、目前の巨体に阻まれて何も出来ない。
(五宝…五将……)
(紫苑様、大丈夫ですか)
(ん、大丈夫……)
心配そうな金鳳を他所に、朔夜と目を合わせゴウシに向かう快晴を見守った。
「伝言の男は何処だ」
「ヒエンは伝言だけだ。近くには居るが、妙なこと考えんなよ。お前らじゃ相手になんねぇ。アイツが五宝五将最強だからな」
苦苦そうに答えるゴウシと、ゴウシに阻まれ見えなくなった曙を思い、矢継ぎ早に話を進める。
「では単刀直入に言う。曙を返せ」
青空色の瞳と見覚えのある金の瞳が火花を散らすように交差した。
「はいそうですかって渡すと思ったか?まぁでも、お前らが条件をのめば考えてやらなくもないなァ」
「勿体つけてんじゃないわよ!早く言いなさい!聞かせるためにわざわざお義父さん達を呼んだんでしょうが!」
「ヒッヒッヒ、まぁいい、教えてやる。俺達の目的は決まりきってる。無論、常闇様の復活ただ一つ!!それも無策じゃねぇ。いいか、俺達五宝五将は始まりの魔物。常闇様の魂の欠片と五宝、絶望の記憶で生まれた存在。つまり、俺達は常闇様の魂の一部を持ってんだよ」
何かに気付いた快晴がすっと目を細める。
「気づいたか。そう、俺達は、この村に常闇様の魂の欠片がある事に気付いてる。流石に何処にあるかまではわからねぇが、俺達の中にある常闇様の欠片が同じ魂同士一緒になろうと引きつけあってんだよ」
「なんだと」
(蒼星、絶対でてくるなよ。返事もするな)
表面的に戸惑いを見せながら、内心片割れを奥深くに押し込んだ。
「曙を返して欲しかったら常闇様の欠片を返せ。どうせどっかに封印でもしてんだろ。常闇様の欠片を、一番奥にある核を持ってこい」
「その他は?」
「紫苑様!」
けろっと紫苑がゴウシをみて問うた。
「だってそうでしょ、ボクら三人を呼んだんなら条件がひとつとは考えにくい」
「それは、そうですが」
王都の二人を見、紫苑に目を止めてにっと笑顔を浮かべる。
「流石は紫苑様、ご明察です!条件はあと二つ、ひとつは紫苑様、貴方です」
「ボク?」
「なっ!!」
「紫苑様は常闇様の愛し姫君。常闇様から万一の時の遺言に託された、紫苑様についての厳命があります。それを果たすため、紫苑様にご同行頂きたい。曙と紫苑様で交換です」
「紫苑様を渡すなんてこと絶対にありません!!」
力強い黄緑色の瞳で金の瞳を見上げると、迎え撃つ金の瞳がうっすら嫌悪を浮かべた。
「理屈で考えろよ世話係カッコカリ。曙を返すための条件だ、わざわざが三つも出してやってんのにデカい口叩いていいのかアァン?お前の言動一つで全部無しにしてやろうか」
「……っ」
悔しげに口をつぐんだ金鳳の手をきゅっと紫苑が握った。
「もうひとつの条件は」
「日の現人神、お前だ。まぁ、お前は何も言う必要は無いよな?」
「…だろうな」
冷たく見下ろす目線に快晴が自嘲気味に笑みを浮かべる。
(お父さんを渡したら絶対殺されちゃう……!!)
「こんなの、誰かの命を差し出せって言ってるようなものじゃない!!」
「それがなんだ?うちのど甘い知将がわざわざ等価交換で条件出してやってんだ、感謝しろよ。一人には一人。嫌なら別にいいんだぜ?俺達結構曙を気に入ってんだよな。彼奴も馴染んでるし。ほら、」
巨体が体を動かすと、扉が開くように再び曙達の姿が見えた。
「ん、できた。お母さんの」
「あら〜、どうかしら?」
「にあう」
「可愛いねん〜!」
「どうせすぐ瘴気で枯れちゃうけど、たまにはいいわよねぇ」
「ん」
すりすりと白い肌に甘えるように擦り寄る。
「さっきからどうしたの?お眠かしら」
「んー……きょーはまだきもちぃことしないの?」
「そういえば最近ずっとだったものね。ふふ、したい?」
「ん…」
顔を隠すようにおでこで擦り寄る曙の髪を優しく撫でた。
「じゃあ帰ったら、しましょうね?」
「…ぅん」
真っ赤になった耳を細い指先で撫でた。
「アンタ達曙に何をしたのよ!!」
「同意の元ウトリの子になっただけだが」
「同意なわけないでしょ!」
「というか子どもに手を出すのは母親ではないでしょう!!」
「しゃーねぇだろ、ウトリは淫魔なんだから。快楽も彼奴の愛の形だ」
「貴様ら…!!」
殺意に滲む朔夜と快晴に、にっと笑みを浮かべて見下すように顎を上に突き出した。
「ま、そういう訳だ。三日後、またここで。こっちで変更があれば玉兎の頭に伝えてやる」
「なっ、」
「じゃあな人間共、その間は俺達で曙を可愛がっておいてやるから安心しな!!」
「待てっっ!!」
ゴォッ!!
ゴウシの勢いよく飛び上がると同時に生じる砂埃で視界が遮断され、朔夜の風でかき消した時にはもう既に、そこはただの花畑になっていた。
「くっそっ!!曙ぉっ!!!」
力任せに叩いた木がそのまま折れて花畑の外側へと大きく倒れていった。
―宮司執務室。
「……これが、呼び出し内容の全て」
暁がぺらりと札を伏せる。
「そんな、曙くん……」
「俺があの時止められてたら…!!」
「玉兎のせいじゃないだろ。悪いのはこいつら、五宝五将とかいう奴らのせいだ」
悄然と項垂れる玉兎の肩に心嗣が声をかけた。
「そうだよ、玉兎の責任じゃねぇよ。気にすんなって」
「…うん」
頭を抱える中ちらりと盈月が紫苑を見、それに気付いたように紫苑が静かに眼鏡を押し上げた。
「盈月君、言いたいことがあるならはっきりいったらどうだい」
「…別に僕は紫苑さんを疑ってる訳じゃありません」
「でも気になってることはある。そうでしょ」
「……」
一度口をつぐんで逡巡し、意を決したように紫苑を見つめた。
「この映像のゴウシとかいう魔物、朔夜達には言いたい放題なのに、紫苑さんにだけ敬語を使ってる」
「っ!」
「そう、いえば…」
「昨日のこともそうだし、紫苑さん、何か大事なこと知ってるんじゃないですか」
「……」
俯いて口を噤む紫苑に金鳳が心配そうに手を重ねた。
「紫苑、俺たちはお前のことを疑ってる訳じゃないんだ」
「…そんなのわかってる」
「でも、何か知ってるんじゃないのかなって思ってる。思ってること、なんでもいいから教えて欲しい。曙君の命が掛かってるんだ、関係ないと思ってても教えてくれないかな」
「団長、何とかなんねぇんすか?」
「人命かかってますし、こう、言うだけ〜…的な?」
金鳳を除く全員が紫苑を見つめる。
疑心のない、中には自身を慮るような視線に、一人畳へ目を落とす。
「…紫苑様」
「ボクだって……」
「紫苑、」
「ボクだって!!」
勢いよく顔を上げると、瞳からぼろっと雫が押し出された。
「ボクだって、ちゃんと言いたいよ!!でも、だって思い出そうとすると上手く思い出せないんだ!!大切だったはずなのに!大好きだった!忘れたくなかったのに!何がなんなのか全然思い出せないんだもんっ!!」
「紫苑様!」
「紫苑さん!」
胸をぎゅっと握りしめ、止まらぬ涙に堪らず部屋をひとり飛び出し走り去ってしまった。
追いかけようとした腰を浮かせた金鳳が何を思ったかぴたりと止まり、そのまま座り直す。
「…僕のせいで紫苑さんを傷付けてしまったかな」
「お前だけのせいじゃない。俺も同罪だ。曙を思って焦りすぎたな…彼奴の気持ちを考えられてなかった」
しゅんと同じように白黒の頭が項垂れる。
その様子に隣の快晴が軽く立ち上がり、暖かい手で同じような頭をぽんぽんと叩いた。
「快晴…」「お義父さん…」
「人の心は難しいな……なぁ金鳳、お前は何か知らないか?」
「それは……」
優しげな青い瞳に見つめられ、静かに視線を落とす。
「知って……います…」
「教えてもらうことはできないか?これ以上紫苑を追い詰めたくはない。だが、このまま手がかり無しでは紫苑の記憶に縋るしかないんだ」
ぎゅっと唇を噛み、俯いて逡巡する。
皆金鳳の答えを待ち、しばしの時間が流れた。
「…………これは、私が副団長に就任した時です」
空白には長すぎる程の時間が流れ、ゆっくり思い出すように口を開いた。
「私は紫苑様の元服を待ち、紫苑様が団長に就任すると同時に副団長を襲名しました。襲名式の後、菫様に一人呼び出されました」
「そういえば…長老様は前団長、紫苑さん達の育ての親のような存在だと聞いたことがあります」
空気を和らげるように茜が軽く笑みを浮かべ、金鳳も笑顔で答えた。
「はい。私と紫苑様と…それと常闇も、菫様と前イ班班長の結嗣様、ロ班班長の心春様に育てられたようなものです」
「心嗣〜?」
「両親です」
「ふふ、心嗣とは小さい時からのお付き合いですね」
「はい」
素直に頷く心嗣を見、それから先程と同じように俯きかけに床を見つめる。
―菫様、お呼びでしょうか?
―えぇ。今日で貴方も副団長。自分だけでなく紫苑や皆を支える立場になりましたね。
―はい!
―金鳳、今日のこの日に貴方へ話しておきたいことがあるのです。紫苑の、記憶について…。
―記憶…?
「菫様のお話は、紫苑様の記憶に関わることでした。私の知らない、三歳から八歳までの幼い記憶について…」
「三歳から八歳というと…常闇がいた頃だな」
朔夜がまっすぐ金鳳を見た。
「はい。記憶の内容は常闇と過ごしていた頃。正確には常闇が術士団の門を叩き、約五年後団内術士を皆殺しにして出奔するまでの内容です」
確信に迫る内容に皆口を噤み、金鳳が意を決するように一度瞑目する。
「…この記憶について、紫苑様は殆ど覚えていません」
「覚えて、いない…?」
「正確には穴あきだらけの状態です。重要な話は覚えていても、逆にそれ以外を殆ど忘れておられます」
「そんな!どうして?!紫苑さんはあんなに常闇のことを、」
「だから、です」
俯いて悔しげに眉を寄せる金鳳に、なにか思い当たったように快晴が鋭く目を向ける。
「紫苑の記憶を消したのは、王都だな」
「……はい」
「なっ?!」
術士団の三人が今度は目を剥いた。
「そんな?!紫苑様は王都で忌み子扱いをされて隠すように、逆に丁重に育てられたはずなんじゃないんすか!」
「だからだよ」
「快晴様…?どういうことですか」
「王都の未来を担う紫苑が常闇に執心していることを王都の一部が許さなかった。違うか?」
「…はい、その通りです。」
手元に目線を落とし、両手を強く握りしめる。
「常闇が罪人として出奔したにも関わらず、あまりに常闇を恋しがる紫苑様の様子に不信を持った王都の暗部が暴走。主上も菫様も通さず独断で記憶消去を行ったそうです」
「王都の暗部が無くなったのは当代の主上からだ。とはいえ、行き場を失った暗部連中を主上は御しきれていないという」
「そんな……紫苑さん、」
紫苑を思い薄明がしゅんと項垂れた。
「記憶が傷付き穴があいているため、思い出そうとしても恐らく不可能だろうと…紫苑様に残された記憶は紫苑様ご自身が記憶消去を強く拒み、勝ち取ったものです。記憶消去はそれ自体既に精神に強い負荷を与えます。紫苑様が穴あきでも記憶を覚えていられたのはひとえに、紫苑様のお心の強さと言えましょう」
「…菫殿もさぞ傷ついておられただろう」
「はい…菫様が該当術士を発見、激昂し怒りそのままに処断なされたそうです…私にも、頭をさげて下さいました……」
―本当に申し訳ありませんっ!!私がついていながらっ…!!こんな、
―菫様!菫様のせいではありません!!
―いいえ、私の責任です。常闇がいなくなって誰より傷付いていた紫苑をこの上傷付けるなど…私は、私は…!!!
「当時はきっとご体調を崩しておられただろうな…」
「そうね…」
「快晴様?」
室内の端を眺め、かつてそこにあった布団から起き上がり優しく微笑んでいた端正な女性を思い出す。
「いや、なんでもない。だがもし紫苑の昨日のあれが思い出すはずのない記憶だと言うなら……恐らく我が神のお力だろう」
「えっ」
はたと首を傾げる金鳳にぱっと茜が両手を合わせた。
「そうだね!きっとそう!太陽様はね、村にいる人皆に加護をくださるの!住んでる人も旅の人も、みぃんな同じだけお力を下さるの!」
「噂に聞く太陽の村の御加護ですね!」
「そうそう!火憐ちゃんも何かいい事あった?」
「んー、くせっ毛がちょっと落ち着きました!!」
「それはどうなんだ…?」
「大事なことだよねー!」
「ですよねー!!」
笑い合う女子二人に笑いかけて、金鳳に向き直った。
「御加護に傷を一から治す力はないだろう。だが紫苑に少し力添えすることで好転するなら、紫苑が思い出すことを強く望んでいたら…これから紫苑はなにか思い出すかもしれない」
「そんな…そんな事が……」
―紫苑様が記憶を取り戻す?
「それは…!良かったですね副団長」
「え、えぇ」
―もし、そんなことが可能だったとして、そうしたら…
―紫苑様はあの事も思い出されるのでしょうか…?
―紫苑様が成長を拒んだ本当の理由を思い出して、そして、その上で…
―私達と記憶の向こう側の彼ら、どちらをお選びになるのでしょうか……?
「副団長?大丈夫ですか、顔色が」
「すいません。大丈夫です」
「お茶をどうぞ」
「ありがとうございます」
ほっといれたてのお茶を嚥下する。
「ねぇ、落ち着いた感じのところ悪いんだけど、曙どうするのよ。情報零のままなんだけど」
「うっ…」
「とりあえず玉兎は当分社殿に泊まれ。奴らがまたお前に手を出す可能性がある」
「すいません。お手数お掛けします」
「曙は……」
「それなんだけど!さっき思い出したんだけど私に一案あるよ!!」
「茜?」「茜ちゃん?」「茜姉?」
「はい三兄妹そろってありがとう!情報収集でしょ?あいつらの事が分かればいいんでしょ?ま、信託の巫女様にお任せなさい!」
ぽむ、と満面の笑みで胸を叩いた。
――はいはーい!ちゅーもーく!
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