エピローグ

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エピローグ

 光の届かない手狭な部屋で、エファリューはご機嫌で飛び起きた。  今日は新しい年の初め、花も咲きそむ、春の始まり。それは別にどうでもいいが、今日という日は特別なのだ。  屋根裏を降りて、素足に触れた床の冷たさにエファリューは飛び上がった。逃げるように、すぐそばの寝台に飛び移る。  意気込んで起き出してはみたものの、火のない部屋はまだ寒い……温もりが恋しくて、布団に潜り込んだ。 「さむさむ……」 「……何をしておいでですか」  夜がどんなに遅くて熟睡していようとも、気配に敏感な側仕えはさっと飛び起きて、寝台を出た。 「おはよう、アル! いい朝ね!」 「……おはようございます。いつになく、早いお目覚めで」 「だって今日は素晴らしい日よ。何と言ったって、ロニー卿に会えるんですもの。楽しみだわ!」  上掛けを放り出して、エファリューは素足のまま寝室を飛び出した。寒さに喚く声が遠ざかっていく。 「……わたしは貴女の驚く顔を見るのが楽しみですよ」  ため息混じりに鼻を鳴らして、寝具を整える。眠い目を(しばたた)いて、アルクェスも仕方なく身支度を始めた。
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