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「マーガレット。こんなところにいたのかい」
サルビアが声をかける。
「お父様。どうかされましたか?」
「いや、少しマーガレットの姿が見えなくて町にでも行ったのかと心配しただけだ」
「町に出かけるときは声をかけてから行くと約束したではありませんか。今日は天気が良くて気持ちがよかったので散歩したり、日にあたったりしていたのです。心配をかけてしまい、ごめんなさい」
眉を下げしゅんと悲しそうな顔をする。
「気にしなくていい。私の方こそせっかくのいい気分を台無しにしてしまって悪かった。お詫びと言ったらなんだが、美味しいスイーツを買ったんだ。一緒に食べないか」
サルビアは大のスイーツ好き。
屋敷からでるとほぼ毎回スイーツを買って帰ってくる。
もちろんこの屋敷で働いている料理人達も毎日スイーツは作る。
「はい。食べたいです」
スイーツを食べ終わりサルビアが仕事に戻る。
カトレアはマーガレットと二人でお茶を飲んでいるとふと思い出したかのように話しをする。
「マーガレット、先程アイリスからの手紙が届いてね、明後日こちらに来れるそうよ。どんなドレスになるか今から楽しみね」
「本当ですか。こんなに早くきてくださるとは思っていませんでした」
本当にそう思っていた。
早くても後三日はかかると。
「私もここにくるのはもう少し先かと思ってたのだけど、昨日使いのものを出したらすぐに行く来ようとしてたらしいけど、明日大事な用があるからと皆から止められて明後日になったらしいわ」
「もしかして、無理な頼みを私はしてしまったのでしょうか」
カトレアはマーガレットの頭を優しく撫でる。
「マーガレットの為に無理をしようとしているのは確かね。だから、それを受け入れてくれたアイリスに感謝しないとね」
「はい」
ああ、本当にその通りだ。
アイリスには感謝してもしきれない。
この借りはきっちり返さないといけない。
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