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マーガレットが二度殺された原因はこの国の頂点に立つ王族達。
王妃と国王の弟の愛人一家によって殺されたのだ。
その中でも特にアネモネはマーガレットを憎んでいた。
マーガレットは何故自分がアネモネからそんな風に憎まわれているのか見当もつかなかった。
理由を知らないためマーガレットは何もしなかった。
いや、できなかった。
それに、自分を見るアネモネの目は憎悪に囚われており、ろくな理由ではないと察していた。
もしかしたら、マーガレットは自分の気づかない内にアネモネを酷く傷つけていたのかもしれない、と前まではそう考えていたが、理由が何であれ二度も家族を、そして忠誠を誓った騎士達も使用人達も町の者達も殺された。
許すことなど到底できない。
一度は許した。
きっと、何かの誤解があったのだと。
最初の人生で処刑された理由を作った使用人達を追い出し処刑される未来を回避した。
未来は変わった。
もう大丈夫だ。
そう思って二度目の人生では最初の人生ではできなかった幸せな暮らしていこうと決めた数日後、アネモネの一族が「ブローディア家は自分達がこの国の主に成り代わろうと謀反を試みています」と虚偽の報告をし又もや一家全員虐殺されてしまう。
今回は屋敷を残しておくのも許されず燃やされ、跡形もなく消される。
マーガレットは首を切られたが暫くは生きており、生きたまま炎に焼かれていく屋敷を見ながらもう一度やり直したいと強く願った。
「もし、もう一度やり直すことができるのなら今度は私が彼奴らにこれ以上の苦しみを与えてやるのに。お父様、お母様。どうか、どうか、愚かな娘を許してください。私がもっとうまくやれていれば皆死ぬことなどなかった。申し訳ありません」
最後に心の中で皆に謝罪を告げ終わるとマーガレットは炎に包まれながら死んだ。
再び目を覚ますと、真っ先に見慣れた天井が目に映った。
「えっ……?」
勢いおく上半身を起こし首に手を当てる。
「繋がっている……。私は……生きているの……?」
茫然と首を触り続ける。
自分はもう一度過去に戻ったのだ、やり直すことができる。
ホッとしたのも束の間、二度目の人生で最後にある男に首を斬られたことを思い出し恐怖で体中が震えだす。
体の震えを止めようと自分を抱きしめる。
暫くすると体の震えは止まる。
マーガレットは上手く力の入らない足で鏡の前まで行く。
「酷い顔ね。……ん?これは……あの時斬られたときの……」
首の傷痕に触れる。
これではまるで罪人の烙印ね。
「ハハッ……、アッハッハッ」
暫く女は大声をあげて笑った。
マーガレットは自分で言うのも何だか誰よりも清く正しく誠実に生きてきた自信がある。
困っている人がいたら手を差し伸べた。
助けを求められたら問題を解決した。
それがどうしてこうなった。
何故こんな目に合わないといけない。
許せない。
一度ならず二度も不当な理由で殺された。
ーー今回も何もしなければ私も両親もまたあの女の策略で殺されるわ。失敗は許されない。
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