鏡の向こうに行けますように

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店を出ると、藍色の空に小さな星々と白い月が 浮かんでいた。冬になると、日が落ちるのが 早くなるためその分一日が終わるのも早く 感じる。 十代の頃は、今よりずっと自由だった。授業は 退屈だったが放課後になれば友人とカラオケや ファストフード店でたむろした。 休日やテスト期間になると、友人や私の家に 課題を持ち寄り勉強会を開いた。 二十代になってからは自分を守ってくれていた 大人達の手が離れ、大切な事程何も教えられないまま自ら人生を切り開く事を強いられた。  濡れ衣的な叱責や目に見える格差も呑み込み、 一日が無事に終わってくれさえすれば良いと 思う毎日が続いている。 何か行動を起こさなきゃ、私は一生どこにも 行けないままだ。転職?それとも、結婚すれば 何か変わる?
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