鏡の向こうに行けますように

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怒りに声を荒げそうになったその時、ドスッと いう鈍い音が聞こえた。 次の瞬間、背中から腹部にかけて例えようも無い 痛みと熱がたぎり始める。恐る恐るシャツの上 から触れてみると、掌にはべっとりと生温かい 鮮血がまとわり付いた。 刺された、と気付いた瞬間私は生気を失い その場に仰向けに倒れた。と同時に刺さったままのナイフがより深く突き刺さり、私は声に ならない悲鳴を上げた。 苦痛に見開いた目線の先には、黒ずくめの彼が 居た。 何故、現実に存在しない筈の彼が此処に? 彼はニヤリとほくそ笑み、私のバッグから財布と 携帯電話を取り出すと二人の警官と走り去って 行った。
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