鏡の向こうに行けますように

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混濁する意識の中、私は最後の力を振り絞り必死に手を伸ばした。だが、その手は何も掴めず空を 切りドクドクと血を垂れ流している腹部に勢い 良く落ちた。 せめて、名前だけでも、聞きたかっ… * 「二人とも、変装上手過ぎんだろ。」 「だろ?兄貴、コスチュームセットに手帳まで 付いててマジ本格的なの。そう言えば親父、何の為にチラシなんか作ったの?」 「そりゃあ、より本物の警察に見立てて警戒心 を解く為さ。勿論、記載した電話番号は架空の ものだけどな。」 「あの女、俺を警戒してガラスや鏡のある所 ばかりウロつくから咄嗟に物陰に身を隠すの苦労したぜ。」
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