鏡の向こうに行けますように

2/15
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
振り向いた時、男の姿は消えていた。 ガラス面に写っていないのは勿論、何処を向いても男の姿は無い。 見間違いだろうか。私は一人首を傾げ、その日は 晩酌用のチューハイを購入しコンビニを後に した。 * 翌朝、会社に向かうため電車に揺られていると 向かいの窓に例の男が写っていた。 周囲は学校や職場に向かう人達で混雑しており 、一人一人の顔を確認する余裕は無い。 男は大きな手で吊革に掴まり、細身の身体を 横に向けてはいるが顔は此方を向いていた。 まるで、私の動向を見逃すまいとしているかの 様に。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!