鏡の向こうに行けますように

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男は私より数cm後方に立ち、上着のポケットに両手を入れ上目遣いにした目線をこちらに向けている。 身を隠す様な服装のせいで殆ど気に留めて来な かったが、男はよく見るとモデルのような整った 顔立ちをしていた。 きっと町を歩けば、大半の女性が振り向いて彼に好奇の目を向けるだろう。 そんな彼が、何故こうも私に執着するのか。 "あちら側"も、私に好意を抱いていると言ったら自惚れになるだろうか。 だってそうだろう、昼夜を問わず私の行く先々に 姿を表し決して手を触れず声を掛けようとも しないのだ。 それ所か、これは私の憶測に過ぎないがそもそも 彼はとうに亡くなっている霊的な存在でガラスや鏡など姿が反射する世界_所謂パラレルワールド にしか生きられないのかもしれない。
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