0人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
彼とこうして見つめ会っている時だけは、現実を
忘れられる。
私が彼を必要としている時、彼もまた私を必要と
してくれているのだ。
相手が警察だろうと、私達を引き裂く奴は監獄
にでも閉じ込めてやる。
ねぇ、名前も分からない君。
私はひんやりとしたガラス面に手を当てると、
その手が彼の心臓部に当たるよう位置をずら
した。
彼に会いたい、触れたい。声が聞きたい。
早く、そこから出て来てよ。
それとも私が、貴方の世界に…鏡の向こうに
行けたなら…。
*
最初のコメントを投稿しよう!