鏡の向こうに行けますように

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彼とこうして見つめ会っている時だけは、現実を 忘れられる。 私が彼を必要としている時、彼もまた私を必要と してくれているのだ。 相手が警察だろうと、私達を引き裂く奴は監獄 にでも閉じ込めてやる。 ねぇ、名前も分からない君。 私はひんやりとしたガラス面に手を当てると、 その手が彼の心臓部に当たるよう位置をずら した。 彼に会いたい、触れたい。声が聞きたい。 早く、そこから出て来てよ。 それとも私が、貴方の世界に…鏡の向こうに 行けたなら…。 *
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