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有難く掴まらせてもらい、立ち上がる。膝が笑っていた。それを見ると、女の子は支えながらゆっくり歩いて道路の隅に理苑を連れて行き、落ち着くまで背中をさすってくれた。
息が整い、ようやく人心地着いたとみて少女は訊ねた。
「さっきからずっとキョロキョロしながら歩いてたよね、どうしたの?」
「ご、ごめんなさい」
心臓が掴まれるような心地だった。やはり変に思われていたのだ。すれ違う人は皆綺麗な服を着ていて、何かに怯えてもおらず、ちゃんとしていて全く違う世界の住人だと思った。
そんな人達の中に自分がいていいわけが無い。理苑は一層下を向いた。
「あ、ごめん。責めてるわけじゃなくてさ、心配になったっていうか。どっか行こうとしてた?」
女の子は何でもないように言った。その自然な雰囲気が理苑の心に馴染んだ。
「えき……に、行きたくて……」
「駅?すぐそこだよ。ボクもこれから行くし、一緒に行く?」
そう言って女の子はにこりと微笑んだ。
理苑の張り詰めていた何かが緩んだ気がした。
「行こっか」
少女に手を引かれ、二人は駅に向かった。
「ボクはこの後新宿に行くけど。キミは?」
「え、と……」
莉苑は口ごもった。何処に行けばいいのか分からなかった。とにかく家から離れられれば。あの父親から逃げられるなら何処だって良かった。
「もしかして、行くとこないカンジ?」
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