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莉苑のような生い立ちの子が、何人もいるということ。そういう子達が、お金を稼いで自分たちで生きていること。その中で恋人や友人が出来るということ。
「ボクも彼氏いるんだぁ、見る?」
そう言ってユウは口元を弛ませながら、スマホの画面を莉苑の前に差し出した。そこにはユウと、一回り体格の良い整った顔立ちの男性が写っている。
「……格好いい人だね」
そう言うとユウは、でしょ、と嬉しそうにニッコリ笑った。
写真の中の二人はいかにもお似合いのカップルで、莉苑には素直に羨ましかった。
「ユウは、幸せなんだね」
莉苑は思わずポツリと呟いた。
その言葉にユウはピクッと肩を揺らし、少し間を開けて「今はそうかも」とだけ言った。
おかしな事を言っただろうか、そう聞く前に電車のアナウンスが目的地を告げた。
「行こ」
ユウはさっと立ち上がって莉苑を急かした。
物凄い人の流れに押されるように二人は駅を出た。
「いつもこんなに人がいるの?」
ユウを見失わないように、必死で足を動かしながら莉苑は聞いた。出発駅もかなりの人通りだったが、その比ではない。せめてなるべく人とぶつからないよう、莉苑は肩を小さくすぼめた。
「んー、まぁ大体こんな感じ。でももう少し歩いたら人減ってくるから」
ユウは莉苑がはぐれないように手を引いてくれた。
高いビルの間をしばらく歩くと、少し開けた広場のような所に出た。
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