2.それが自分の価値なのだと識る

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 本当に同じだろうか。だが現実を受け入れて生きているユウの方がよっぽど強かだ。莉苑は俯いた。  そこへユウが戻ってきた。 「今から出かけるけど来る?多分お客さんにご飯とかお金とか貰えるよ」  ユウは少し早口にそう言った。お客さん、というのはウリのことだろう。じわりと汗が滲んだ。強制的にレイプされるのと、自ら望んで身を売るのと、そこに確かな一線があるのは世間知らずの莉苑でも感じていた。  ユウの言葉に頷けば、本当に仲間入りだ。だがそれ以外に生きる術を知らない。首を振ればユウをガッカリさせるかもしれない。初めて自分に優しくしてくれたユウを。莉苑に選択肢はないのだ。 「……行、く」  莉苑はゆっくり頷いて、掠れた声で絞り出した。  ユウはにっこりと笑うと無邪気に手を差し出す。 「決まり!」  莉苑はその手を恐る恐る掴んだ。 「君、遊べる?」  見知らぬ男にそう声をかけられたのは、道端に立ち尽くして二時間ほど経った頃だった。  莉苑は恐る恐る顔を上げて、目の前の男を見た。小太りのサラリーマンだった。こんないかにも普通の人でも、自分に声をかけてくるのか。  何と返せばいいのか分からず目を泳がせると、すかさずユウが助け舟を出す。 「この子今日が初めてなんだよね。だからボクとセットで、それぞれ一・五でどう?あ、ホ別ね。」
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