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ルミにゃんがやってきた。
「お待たせいたしましたにゃん。こちら特製オムライスですにゃん」
小声で言うルミにゃん。客はほとんどいないし、僕の席からはだいぶ離れてるから大丈夫だと思うんだけど。
「ありがとうにゃん。とっても美味しそうだにゃん。いただきますにゃん」
早速食べようとしたら、ルミにゃんが「ちょっと待ってくださいにゃん!」と叫んだ。
「どうかしたのかにゃん?」
「このオムライスはごくたまに現れるというだけではないのですにゃん」
「どういうことかにゃん?」
「ご主人様がほしいものを心に思い浮かべながら、このオムライスを食べてくださいにゃん」
「ほしいものかにゃん?」
「何かありましたらオムライス食べてくださいにゃん。オムライスを食べ切ったら、そのほしいものが手に入るのですにゃん」
「へー、すごいにゃん! 本当かにゃん?」
「ルミにゃんも、一回食べたことがあるんだにゃん」
そうなんだ。ルミにゃんは何がほしかったんだろう。
「ルミにゃんは、何を思って食べたんだにゃん?」
「そ、そんなことどうでもいいですにゃん。プライバシーというやつにゃん!」
ルミにゃんがちょっと顔を赤くする。うーん、気になるけど、これ以上突っ込むところではないかな。
「そんなことより、ご主人様はほしいものはないのですかにゃん?」
「あ、ああ、そうだにゃん」
ほしいもの、といえばあれっきゃない。けど。
「物じゃなくてもいいのかにゃん?」
「物じゃなくてもいいですにゃん」
なるほど。それじゃあ。
「いただきますにゃん」
「待ってくださいにゃん」
「どうしたのかにゃん?」
「二つ注意があるにゃん。さっきも言いましたけどにゃん、まずオムライスは食べ切ってくださいにゃん。ほしいものが手に入らなくなるにゃん」
「わかったにゃん」
「もう一つ、ほしいものが手に入っても、元に戻すことはできないから慎重に考えてほしいのにゃん」
なるほど。でも僕のほしいものは別にたいそうなものではない。
「いただきますにゃん」
オムライスを食べ始める僕。
パクパク食べる。ルミにゃんはそわそわしている。
十分くらい経過しただろうか。オムライスを食べ切った。
「おいしかったにゃん?」
「うん、とっても美味しかったにゃん!」
「よかったですにゃん。そういえば、ご主人様のほしいものって何なのかにゃん?」
僕は満面の笑みで答えた。
「僕は、日本中のみんなに猫耳をつけてほしいにゃん!!」
ルミにゃんの顔がみるみる怒った顔になった。
「ご主人様のバカー! にゃん!!」
そして「お代は結構ですにゃん!」とか言われて店から叩き出されてしまった。
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